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小説「ジェノサイド 上・下」(高野和明著)

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約 3 分

「ジェノサイド」は、大量虐殺を意味する言葉。本作は、突然変異で現れた「新人類=ヌース」を守る側と、ヌース抹殺を試みる側の対立を描いた話。

☆☆☆☆

ヌースが現代人を遥かに凌ぐ知能を持っており、彼の敵対者を上手くかわす数々の知恵がとても興味深い。

例えば、ヌースは自分で歩けないほどの子供だが、元々追手だった傭兵たちを味方に付け、彼らに運んでもらう物理的に追ってから離れている。また傭兵たちを味方に付ける戦略として、日本にいる研人たちを利用する事もいとわない。

他にも、現代人が解読出来ない言語を使う・敵の動きを予測し傭兵たちの逃げる手段を先導する・危害を加えようとする現代人に対して威嚇攻撃を行うなど脱出に向けた筋道を正確に作っていく。まさに人智を超えた働きをし、最後まで追ってを交わす話に思わず引き込まれる。

そんな本作で、特に熱く語られていたメッセージが、

「全ての生物種の中で、人間だけが同種間のジェノサイドを行う唯一の動物だからだ。それが人という生き物の定義だよ。人間性とは、残虐性なのさ。」

「戦争は、形を変えた共食い。人間は、知性を用いて共食いの本能を隠蔽しようとする。政治、宗教、イデオロギー、愛国心といった屁理屈をこねまわしてな。しかし、根底にあるのは獣と同じ欲求だ。」

「完全なる平和が達成されないのは、他者が危険であるという確固たる証拠を、互いが己の内面に見ているからだ。人は皆、他者を傷つけてでも食料や資源や領土を奪い取りたいのだ。その本性を敵に投影して恐怖し、攻撃しようとしているのだ。そして、死をもたらす暴力の行使には、国家や宗教という後ろ盾が免罪符となる。」

といった、人類に関する話だ。人類がずっと争いを続けている事、同人種間で殺し合いを続けている事に対して的を得た上手い表現だと思うし、個人的に大いに内省させられた。

「知性を持ち合わせているからこそ、欲求を上手く隠蔽している」という言葉はまさにその通りで、こういった本性があるからこそ、現代世界でもジェノサイドが行われ、それが繰り返してしまうのかもしれない。

こういった話を読むと、今後の世の中が均衡を保ち続けられる事も、実は紙一重の事のように感じてしまう。

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kuhh
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