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本「マイクロファイナンス 〜貧困と闘う「驚異の金融」〜」

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「マイクロファイナンス」とは、貧困者や低所得者向けの小口の金融サービスの事である。特にこのサービスが行き届く領域は、自分の能力を活かしたいと思いつつも、貧困でそのチャンスがない人々に対しての金融支援だと、本書では述べられている。

 

これを導入した実例として挙げられていたのがバングラデシュのグラミン銀行。その運営方法は、

 

1. 融資のための資金は借り手からの出資と政府出資がベースで、1995年以降からは預金のみで資金を運用している。

 

2. 融資先は、担保を持たない貧困層で特に97%の借り手が女性。

 

3. 融資と併せて借り手に対して技術支援や進路に関するサポートを定期的に取る事で、双方向の信頼関係を築く。

 

4. 融資額は小額が原則で、返済期限も短期による返済を求める。その分、事業を行うまでのサポートを充実させる。

 

5. お金を貸し出すかどうかの判断基準は将来お金を返済出来るかどうかという将来の返済能力が見られる。

 

6. 5人1組のグループによるローンの方式で、前の人の返済が終わらないと、次の日とが融資を受ける事が出来ないという仕組みを作る事で、返済率の上昇を図っている。

 

7. 事業資金ローンは20%、実質金利は10%強。

 

といった方法が採られている。このシステムの凄い所は、返済率が97.4%という驚異的な数字を叩き出している事。一般的な金融サービスではなかなかありえない話だ。

 

個人的には特に、貸し出し後も定期的なサポート体制を組んでいる事が、上記の返済率を満たす大きな要因だと感じられた。継続的に貸し手と密に連携する事で、返済に関する義務感が発生したり、リスクを管理し次の一歩を踏み出す手助けとなっているように思われたからだ。

 

そんなマイクロファイナンスが、他の金融サービスと大きく異なる点は

 

「マイクロファイナンス事業を通して、事業として運用するために最低限必要な事業収益の確保と同時に、社会的利益の追求も行う事」である。

 

一見相反する2つの目的を両立させるという役割が、このマイクロファイナンスの大きな可能性のように感じた。単に人々の善意に訴えかけたり感情論で泣き落とすのとは違った論理的な説得が可能だからこそ、既に多くの途上国・先進国で導入される等より幅広く受け入れられているのかもしれない。

 

最後に、私は自己の私的利益の最大化を主眼において生きてきた節があるので、このように「社会のズレや溝を修繕しようとアクションを起こしている人」がいる世界を知らなかった。世の中は「広い」と感じた。

 

マイクロファイナンス―貧困と闘う「驚異の金融」 (中公新書)
菅 正広
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kuhh
面白かった本や映画の感想をブログにまとめています。読む本は、他の人のおススメやアマゾンの評価を参考に選んでいます。

映画は、もっぱらアマゾンのプライムビデオで見られる作品になってます。たまに、本や映画とは無関係な日々の忘備録を書く予定です。

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