読書・映画ログ

メインは読書・映画ログ、ときどき忘備録

本「風姿花伝」(世阿弥著)

By
1055 views
約 3 分

今回は、世阿弥著の「風姿花伝」という本のレビューを書きたいと思う。(世阿弥は、日本の伝統芸能である能のシテとして有名な演者である。)

 

以前、原研哉さんが書いた「日本のデザイン」という本に触れてから、室町文化や能など日本の古典的な文化に興味を持つようになった。そのような状態でこの本を知り、あまり考えずに読んでみる事にした。

 

いざ手探りで読み進めてみると、「能の文化について」も知る事が出来たが、それ以上に「能を演じる表現者としてのあり方・あるべき姿をひも解く指南書」的役割を強く感じる内容だった。

 

例えば「男時・女時を知る」という話。これは、舞台を演じるにも観客の状態など日によって波があり、その時流を理解し自分に波がきている時(男時)にその波を掴む事が大切という内容である。

 

このように能の指南書的役割が強い感はあるが、現代に生きる自分に投射しても示唆に富む内容が多くあり、また訳者の後書きでも書かれていたように、様々な表現の世界に関わる人達にとって普遍的な内容だと感じられた。

 

そういう観点からみて、自分の肥やしになる興味深い内容だと思われた。(ただ、同時にこれらを人生を通して実践するのは容易でないとも感じられたが・・・)

 

特に私が関心を持ったのが、「年々去来(=若い自分には若い時にしか身に付かない技があり、年をとればそれに見合った芸が身に付く事)の技を忘れず積み重ねて行く事が大切」という話。

 

私は、普段出来る限り新しい情報や知識に感応良くありたいと思っている。一方で、取り巻く環境の変化に伴い過去に蓄積していったものを逆に失っているという現実がある。

 

この行動パターンは、実は「未来に得られるものは常に過去に得たものよりも良い」という、過去の知識や経験を軽視し未来を重んじている偏見から来ているのかもしれない。

 

本来今まで得た知識や経験の中には、その時の環境やあらゆる条件下の元だからこそ得られた貴重なものもあるし、安直に不要と判断しては行けないはずである。

 

だからこの話を読み、安易に未来の情報ばかりに目を向けず、人生の年月を重ねても昔の芸を忘れず蓄積出来るようにしていきたいと思った。

 

このように普遍的な内容が、「秘すれば花なり」や現代でも有名な「初心忘るべからず」など他にも載っているので、能に興味がある人だけでなく生き方に対する洞察を深めたい人にとってオススメ出来る本かもしれないと思いました。

 

現代語訳 風姿花伝

現代語訳 風姿花伝

posted with amazlet at 17.01.14
世阿弥
PHPエディターズグループ
売り上げランキング: 50,168

About The Author

kuhh
面白かった本や映画の感想をブログにまとめています。読む本は、他の人のおススメやアマゾンの評価を参考に選んでいます。

映画は、もっぱらアマゾンのプライムビデオで見られる作品になってます。たまに、本や映画とは無関係な日々の忘備録を書く予定です。

Comments

*
*
* (公開されません)